ジャガイモ 120g
海苔 1枚
味醂と醤油 各大匙2
揚げ油
1ジャガイモは皮をむき、すり下ろして水気を切る。味醂と醤油を合わせてひと煮立ちさせる。
2海苔を8枚に切り、すり下ろしたジャガイモを
五ミリ程度の厚さにのせ170℃の油で揚げ、味醂と醤油の
タレに絡める。ご飯の上に、のせると、蒲焼きもどきになる。
きゅうり 1本
人参 40g
干し椎茸 1枚
塩 小匙1
味醂 大匙1
醤油 大匙1
A すり胡麻 大匙2/味醂 大匙1/酢 大匙1/醤油 小匙1
1干し椎茸は、水に浸して戻してから千切りにし、
戻した水1カップに味醂と醤油を入れた煮汁で甘辛煮にする。
2きゅうりは、薄切りにし、塩を振り、10分程おき絞る。
3人参は千切りする。
4すり胡麻にAの調味料を合わせ、
絞ったきゅうり、人参、煮た椎茸を和える。
精進料理では「殺生をしない」という仏教の考えのもと、追いかけて逃げるものは食材にしません。そして「五葷(ごくん)」といって、葱・ニラ・ニンニク・玉葱・らっきょう等、匂いの強い野菜を使わないところが通常の野菜料理と違う点です。禅寺の山門前には「不許葷酒入山門」と書かれた石柱があるのは、匂いの強い野菜と酒は修業の妨げになるので寺の中に持ち込んではならないということなのです。
「精進」という言葉はサンスクリット語のviryaが中国で「一生懸命努力する」と訳されたもので、日本では平安時代「枕草子」に”精進(そうじ)もの”として、寺院で簡単な野菜料理が食べられていたという記述があります。それから時代を経て、曹洞宗の開祖・道元禅師が宋の時代の中国へ留学し、中国の禅寺の体験から帰国後、禅寺の食事の哲学と実際の作り方を『典座教訓』(てんぞきょうくん)に、食べ方の基本を『赴粥飯法』(ふしゅくはんぽう)に書き残しました。このため特に曹洞宗では現在に至るまで、食事のあり方の哲学と作法が事細かに伝わり修行道場では厳格に行われています。『赴粥飯法』には、口に食べ物をたくさん詰め込まない、音をたててはいけない等、現代にも通用するマナーの基本が書かれていて参考になります。
千利休は禅の修業をしたので、茶道に禅の心とマナーを取り入れました。茶腕を清める茶巾という麻布のたたみ方は、曹洞宗の雲水(修行僧)が持つ応量器(入れ子の五つ重ねの食器)で使う布巾のたたみ方と同じなのです。
「はじめての精進料理」では、精進料理の哲学に触れていただけるような、家庭でもつくれるレシピをご紹介します。長い年月を経て受け継がれてきた教えは、生活を見直すヒントを与えてくれるはずです。
北海道出身、鎌倉在住。早稲田大学教育学部卒。
僧侶であった夫・藤井宗哲(2006年他界)と二人三脚で、精進料理に携わる、現在は、鎌倉「不識庵」での精進料理塾「禅味会」をはじめ、地域のカルチャーセンターや全国各地に招かれての料理講習会、パリ、ロンドン、北欧、米国、東南アジアなどで精進料理のワークショップなど幅広く活動。http://kamakurafushikian.com/
撮影:今井 隆伍