Q. 子どもの頃から絵を描くのが好きだったのですか?
A. 絵を描くのは好きでした。実家がちょうど本屋だったので、絵本に触れる機会が子どもの頃からありました。子どもの時に印象に残った絵本は『おしいれのぼうけん』(作 ふるたたるひ たばたせいいち・童心社)です。小学校の卒業文集には「絵本の挿絵画家になりたい」と書いていました。
Q. 現在は主にどのようなお仕事をされているのですか?
A. 絵本やイラストを描く仕事をしています。月刊カトリック保育絵本『こどものせかい』(至光社)では「ハロウィンの たからもの」「おかあさん おかあさん」など、作品が多数あります。
Q. 「こころの絵本大賞」の応募動機を教えていただけますか?
A. 仕事でお付き合いのある出版社の方から、このコンテストのことを伺い、応募しました。キリスト教も仏教も信仰はしていませんが、絵本を作るうえで、どんなものなのかを知ることは大切だと思っていますので、聖書を読んだりしています。最近は、仏教の教えにも興味を持っていましたので、ちょうどよいタイミングでした。キリスト教と仏教は全くの正反対に見えるけれど、根本の部分は似ていると思います。
Q. 今回の作品を描く中で気を付けた点を教えてください。また、普段から絵本を描く上で気を付けていることはありますか?
A. 今回の作品は、オイルパステルで描きました。お話作りに時間をかけ、何度も練り直しました。絵本の制作では、自分が伝えたいメッセージをダイレクトに書くのではなく、そのメッセージをいかにお話の中に落とし込めるかがポイントだと思います。そして、「誰に向けて書いているのか?」を意識しつつ、こちらの思いが一方的な絵本にならないように、読者と対話する気持ちで作ること、また、絵本の土台作りはとても大切で、骨組みが弱いとお話自体が薄っぺらくなってしまいますので、下準備に時間をかけることを心掛けたいと思っています。
Q. これからの展望や目標を教えていただけますか?
A. 絵本を制作することだけに限らずですが、学ぼうとする姿勢が大切なのではないかと思います。絵本を作ることに携わるようになってから、色々なご縁があるなかで、技術だけではなく心意気を見習うことがいかに大事なことか知りました。小手先の技術は、練習次第で上達できるけれど、人間としての成長は、人から学び、自らが気づいていくことの積み重ねで培われるのではないかと思います。それが人間力となり、作品の力になるのではないかと思っています。独りよがりで満足するのではなく、自分が人間として尊敬できるかたを師事し、生き方を学ぶことによって、それが仕事に反映する。そうしてつながるご縁は、偶然ではないと思います。わたしも師匠と呼べる方がいて、絵本を作る上でたくさん学ばせていただいています。絵本についての考え方も、かなり変化がありました。これからの目標は、後世に残せる絵本作りです。