138.末法灯明記/末法燈明記(まっぽうとうみょうき)

最澄(さいちょう)撰
(蔵外)
Eng. The Candle of the Latter Dharma

(In BDK English Tripiṭaka 5 “THE ESSENTIALS OF THE EIGHT TRADITIONS/ THE CANDLE OF THE LATTER DHARMA”)
釈尊滅後には,正法(しょうぼう)・像法(ぞうほう)・末法(まっぽう)の順に,段々と正しい教えが実践されないようになる,という考え方が仏教にあるが,本書は,著者の時代はすでに末法とよばれる時期に近づいているので,戒律を守らないからといって,それが出家者の資格を失わせるものではない,ということを主張して,奈良の仏教側の固守する小乗の具足戒(ぐそくかい)を批判したものである。
この考え方は,鎌倉の新仏教諸宗には大いに歓迎され,宗祖たちが,自分たちの著した多くの書物に引用することによって,末法における僧侶の在り方を正当化しているので,その後の日本仏教の戒律に対する受け取り方に与えた影響にはきわめて大きなものがある。
しかしながら,最澄の真撰か否かについては議論のあるところで,現在のところ,まだその結論は出されていない。