121.五輪九字明秘密釈/五輪九字明祕密釋(ごりんくじみょうひみつしゃく)

覺鑁(かくばん)撰
(大正大蔵経 No.2514)
Eng. The Illuminating Secret Commentary on the Five Cakras and the Nine Syllables
(In BDK English Tripiṭaka 28 “SHINGON TEXTS”)

西方極楽浄土に往生する,という思想・信仰が興(おこ)りはじめていた平安時代の末期という時代に生きた著者は,密教の立場から,大日如来と阿弥陀如来とは一体平等であり,密厳浄土(みつごんじょうど)と極楽浄土とが同じ場所であり,そして往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)であることを明かしている。
すなわち,「五輪」というのは地水火風空という,この地上に存在するものの五つの構成要素であり,「九字」というのは阿弥陀如来の真言で,九つの梵字から成っているが,この五輪と九字とが同一体であるから,阿弥陀如来と大日如来とが同体である,ということを論証している。
密教の立場からの阿弥陀仏観・浄土観を明らかにしたものとして注目される。