116.秘蔵宝鑰/祕藏寶鑰(ひぞうほうやく)

空海(くうかい)撰
(大正大蔵経 No.2426)
Eng. The Precious Key to the Secret Treasury
(In BDK English Tripiṭaka 28 “SHINGON TEXTS”)

平安時代の初期に,淳和(じゅんな)天皇の勅命によって各宗の代表者がそれぞれの宗義(しゅうぎ)を述べたものが六書あるが,その中で,真言宗の宗義を述べたものが,同じ著者による『十住心論(じゅうじゅうしんろん)』という名の,10巻より成る大部の書物であった。ところが,他の宗派のものに比べてあまりにも大部なものであったために,もっと簡略なものをと要請されて著わしたのがこの書物である。
したがって,この書は,真言宗の立場を明確にするために,仏教諸宗派をはじめとして,インドや中国の諸宗教をも含めた「十住心教判(じゅうじゅうしんきょうはん)」を設立し,最高住心に真言宗を摂しているという形をとっている書物なのである。
ちなみに,『十住心論』を広論とよぶのに対して,これは略論とよばれている。