114.顕戒論/顯戒論(けんかいろん)

最澄(さいちょう)撰
(大正大蔵経 No.2376)

それまでの小乗戒に反対して,大乗戒を主張した最澄が,『山家学生式(さんげがくしょうしき)』(115番)に含まれている三種の天台宗の僧侶の守るべき法規集を朝廷に提出して勅許をもとめたところ,奈良の仏教側からの強い反対にあってなかなか許可が下りなかった。そこで最澄が,「四条式」とよばれている,最後に提出した法規集に対する奈良仏教側の反論に対してそれを細かく引用しながら,小乗戒を固守することは決して正しいことではない,ということを論証しているのが本書である。
結局のところ,最澄の生前には大乗戒は許されなかったが,彼の死後7日目に勅許が下り,天台宗は,奈良の仏教とは離れて独立した宗派となったことを考えると,この書が日本の戒律思想に与えた影響はきわめて大きかったと言える。