76.肇論(じょうろん)

僧肇(そうじょう)作
(大正大蔵経 No.1858)

鳩摩羅什(くまらじゅう)の弟子であった僧肇が著わした4編の著作に,彼の仏教に対する見解の根本的立場を要約した部分を付けたもので,その後の中国仏教に与えた影響にはきわめて大きなものがあった,と言い得る書物である。
『肇論』とは,文字通り「僧肇の著わした論」ということで,『註維摩(ちゅうゆいま)』とともに,彼の代表作の一つと言ってよいであろう。
本書は,仏教教義の中国的理解ないし解釈,といった点に特色があり,仏教教義における重要な問題を,中国思想との関連の中でとらえているところに意味があり,中国仏教が形成されていく上において,きわめて重要な意義を持った,と言える。