70.那先比丘経/那先比丘經(なせんびくきょう)

失訳
(大正大蔵経 No.1670)
Pāli Milindapañhā

「経」という名がついてはいるが,これは釈尊の説法ではなく,西暦紀元前2世紀の後半に,西北インドを支配していたギリシア人の国王ミリンダ/弥蘭陀王/メナンドロスと,インドの仏教僧ナーガセーナ/那先が,仏教の教理について問答する形式で述べている。
最後にはミリンダ王がついに出家して仏教に帰依することになっているが,当時の,西洋的思惟と東洋的思惟との違いを知る上においても,きわめて貴重な資料である。
パーリ語聖典においては,三蔵に収められていない蔵外文献であるが,仏教文学としても特にすぐれた内容のものである。ただし,漢訳のものはパーリ語のものとは内容がいささか異なるし,訳語も必ずしも流麗とは言えない。