58.弁中辺論/辯中邊論(べんちゅうへんろん)

世親(せしん)造・玄奘(げんじょう)訳
(大正大蔵経 No.1600)
Skt. Madhyāntavibhāga

弥勒(みろく)/マイトレーヤが作った『辯中辺論頌』に対する注釈書で,『中辺論』と略してもよばれるが,真諦(しんだい)/パラマールタ訳では『中辺分別論(ちゅうへんふんべつろん)』という題名になっている。
「中」という大乗における根本思想の立場から瑜伽行派(ゆがぎょうは)の教理を組織した聖典である。
「辺」というのは,互いに対立した極端な観念のことであるが,そういった偏(かたよ)った両極端を離れることが「中」であり,その中道こそが本聖典の根本的立場となっている。