49.十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)

龍樹(りゅうじゅ)造・鳩摩羅什(くまらじゅう)訳
(大正大蔵経 No.1521)
Skt. Daśabhūmika-vibhāṣā (?)

本書は,『大方広仏華厳経(だいほうこうぶつけごんぎょう)』(15番)の中でも最も重要な「十地品(じゅうじほん)」とよばれる1章の註釈書であるが,菩薩の修行段階の十地の中,最初の二つの段階のみが解釈されている。
したがって,菩薩の十地の註釈書としては未完結なものであるが,全体で35章ある中の第9番目に出てくる「易行品(いぎょうほん)」とよばれる章が,後の浄土教思想に与えた影響にはきわめて大きなものがあった。
この聖典では「十住(じゅうじゅう)」となっているが,これは訳者の鳩摩羅什がこのように訳したのであって,普通は「十地(じゅうじ)」と訳されているものである。
なお,「毘婆沙(びばしゃ)」というのは,梵語のヴィバーシャーの漢音写で,「論」または「註釈」という意味である。