34.大乗入楞伽経/大乘入楞伽經(だいじょうにゅうりょうがきょう)

實叉難陀(じっしゃなんだ)訳
(大正大蔵経 No.672)
Skt. Laṅkāvatāra-sūtra

『楞伽経(りょうがきょう)』ともよばれる,インド後期の大乗仏教思想を代表する経典である。
すなわち,本来悟りの種子はどんな凡夫にも存在する,とする如来蔵思想(にょらいぞうしそう)と,人間の心の働きを8種類に分類し,その第8番目の識(しき)としての阿頼耶識(あらやしき)を根本識とする思想とを結合した,きわめて重要な教えを述べている経典である。
もっとも,当時の仏教諸学派の説を雑然と集成している点において,いかにも混合思想のようにもみえないわけではないが,後の『大乗起信論』(68番)における立場の先駆の思想としては重要であり,しかも禅宗系統の思想に与えた影響にも大なるものがあるし,その全体の流れの中には,無分別という思想に対する理解,という一貫した立場を見出すことが出来る。