12.妙法蓮華経/妙法蓮華經(みょうほうれんげきょう)

鳩摩羅什(くまらじゅう)訳
(大正大蔵経 No.262)
Skt. Saddharmapuṇḍarīka-sūtra
Eng. The Lotus Sutra
(In BDK English Tripiṭaka 3 “THE LOTUS SUTRA”)

『法華経(ほけきょう)』という略名で呼ばれることもあるこのお経は,大乗仏教経典の中でも最も重要なものの一つで,日本においても,聖徳太子が「三経義疏(さんぎょうぎしょ)」の中にこのお経の注釈書(108番)を含めて以来,歴史を通して最も大切にされてきた。
多くの詩偈や物語を含んだ,きわめて文学的にも価値のある作品であるが,思想的にみても,仏教史の中で不朽の名をとどめている,と言えるほど優れた内容を持っている。
全体が28章に分かれているが,その中でも特に重要になのが第16章の「如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)」とよばれているもので,永遠の生命を持つ「久遠実成(くおんじつじょう)の釈迦牟尼仏」が讃えられている。
多くの譬え話の中では,三車火宅(さんしゃかたく)・長者窮子(ちょうじゃぐうじ)・三草二木(さんそうにもく)・化城喩(けじょうゆ),といったものが有名であり,全体を流れる一乗思想が,日本仏教に与えた影響には量り知れないものがある。
ちなみに,このお経の第25章である「観世音菩薩普門品(かんぜおんぼさつふもんぼん)」は,観音菩薩の功徳(くどく)を述べた部分であるが,これが後に独立して,『観音経(かんのんぎょう)』として読誦され続けている。
ちなみに,この経典の題名に「南無(なむ)」という帰依(きえ)を意味する言葉をつけた,「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」という聖句は,日蓮宗をはじめとする多くの日蓮系宗派において唱えられていることはよく知られていよう。